ところで、ドライクリーニングってどんな洗い方かご存知ですか?
ところで、ドライクリーニングってどんな洗い方かご存知ですか?
地元、尼崎市塚口町のお客様に聞かれました。
「せんたくやさん、ドライクリーニングって、なんなん?」
あ、また関西弁でした(^ω^;);););)
もとい、
「ドライクリーニングってどういう洗い方ですか?」
そこで考えました。
ドライクリーニングを本当にご存知の方は
どれくらいいらっしゃるんでしょうか?
早速 友人に訊いてみました。
友人A「そんなんどうでもいいやん。
お前んとこに出したらきれいになって帰ってくるやん。」
友人B「え、でっかい洗濯機で普通に洗ってるんちゃうのん?」
友人C「そら、水で洗うにきまってるやん、家の洗濯機にもドライコース付いてるもん」
バリバリの関西弁ですみません(笑)
ブッブー!
全部不正解です。
ドライクリーニングとは、
水を(ほとんど)使わずに有機溶剤で洗浄するクリーニング
のことです。
え、水を使わないでどうやって洗うの?
そりゃそうですね。そう思いますよね。
ハイ、そうですね。
家庭洗濯と決定的にちがうのがここです。
家庭では当たり前に水を使って洗剤を入れて水で洗いますもんね。
では、有機溶剤って?
有機溶剤(ガソリンやシンナーも有機溶剤です。クリーニングで使っているのは石油、パーク、エタン、フッ素等があります)の中でも
当店を含め、国内のドライクリーニングの約90%が石油系の溶剤を使用して洗浄しています。
なに、石油で洗ってるの!?
はい、ほぼ灯油と同じ石油で、クリーニングに適するように作られたドライゾールという溶剤を使用して、そこにドライソープという主に静電気の発生を防ぎ、洗浄効果を高め、風合いを良くする添加剤を加えて洗浄します。
溶剤を毎回捨てていてはお金がかかりすぎるし、何より環境破壊につながりますので、機械の中で溶剤を特殊なフィルターで濾過、また蒸留して、きれいな溶剤に戻してまたクリーニング、と循環させて使用しています。
ドライクリーニングの品質はこの溶剤液管理がすべてといっても過言ではありません。
ここで、ご家庭でトンカツや天ぷらを作った時を思い出してください。
こぼれた油を処理するときにティッシュペーパーを使ったことがあると思いますが、ベトベトになってもなんとか広げられるし、ボロボロくしゃくしゃになりませんよね。
でも、こぼれたジュースを同様にティッシュペーパーで拭いたら広げることも難しいし、元の形に戻りませんよね。
また、女性のお化粧落としのクレンジングにも例えられます。
まず、水を使わずに落としませんか?
平たーく言うとこれがドライクリーニングの原理です。
要するに、
ドライクリーニングは家庭では絶対にできない洗浄方法なんです。
家庭用洗濯機のドライコースはドライクリーニングではなく、あくまで(弱い)水洗いなんです。
だから、ドライクリーニングは、ウールやシルクなど水の影響を受け易い品物を縮むことなく、風合いを損なわずに洗うことができるんですね。
こんなすばらしいドライクリーニングですが、
石油、つまり油で洗浄するので当然ながら油性の汚れにはめっぽう強いのですが・・・・・。
実は、水溶性の汚れにはちょっと弱いんです。
水溶性の汚れとは、
しょうゆしみ、コーヒーしみ等、そう、最も気になる汗シミも水溶性です。
と、いうことは
汗はドライクリーニングでは落としきれないんです。
前出のドライソープ等の添加剤の配合で皮脂汚れ等ほんの少しは取れますが、ほとんどの汗の成分は残ってしまいます。
大きな声では言えませんが、
ときどき見ませんか?
「汗抜きドライ」 って・・・。
どうなんでしょうか?
汗はシミになるまで見えませんからねぇ。
スラックスをクリーニングに出したのに、なーんかゴワゴワで汗の匂いが残ったまま帰ってきたっていう経験はありませんか?
これは、ドライクリーニングだけで処理して、汗の塩分などがまだ残っているのでゴワゴワのままなんです。
じゃあ、汗汚れはどうやって落とすの?
そう、汗の塩分は水洗いでしか落とせません。
ここからがプロのクリーニング屋さんの腕の見せ所です。
ウエットクリーニングってご存知でしょうか?
水洗いすることができないスーツ等を水で洗浄する特殊な方法のことです。
汗などの水溶性の汚れもこれでさっぱりおとすことができます。
ただし、洗いも仕上げも、非常に高い技術を必要としますので、別料金が必要になる場合がほとんどです。
ケアラベル(品質表示ラベル)にこんなマークがついているのを見たことがありませんか?
昨年12月より表示に関する法改正で新たに導入されたマークで、商業ウエットクリーニングができるっていうマークなんです。
汗が気になる品物を店頭に持ち込んで
「ウエットクリーニングお願いします!」
と、ご用命ください。
快く受けてくれるお店が、良いクリーニング店、と言えます。
クリーニング店選びのひとつにしてくださいね。
【この記事を書いている人】
平櫛 貴夫
(毎日屋クリーニング店 店主)
兵庫県尼崎市でクリーニング店を営んでおります。
地域の方から頼りにされ、地域に恩返しできるクリーニング店を目指し、「洗い」と「仕上げ」にこだわりを持って運営しています。