クリーニング屋さんの事件簿②
クリーニング屋さんの事件簿②
今回の事件簿は、
ベージュ色のコートです。
クリーニングが終わって保管後に利用者から持ち込まれた事故事例を紹介します。
意外なオチがありますのでよかったら最後まで読んでください。
モノクロ写真なので分かりづらいですね。
すみません。
事故の状態
肩から袖にかけての部分や、襟、裾部分などがベージュ色から緑色に変化している。クリーニング後はクローゼットに入れて保管しており、着用としようと出したところ、色の変化に気がついたため、クリーニング店に持ち込まれたもの。
原因
着用や保管の際、酸化窒素ガスや亜硫酸がすら採用することで染料が分解するなどして色が変化したもの。
酸化窒素ガスは、燃料が高温で燃焼する際に空気中の窒素と酸素が化合して発生する。家庭内においては、石油ストーブ、ガスストーブ、ガスコンロ、ガス湯沸器などから発生している。また、自動車のガソリンエンジンやディーゼルエンジンも大きな発生源となる。
亜硫酸ガスは、石炭、重油、軽油などの燃料が燃焼する際、これらの燃料に含まれている養分と空気中の酸素とが化合して発生する。主な発生源には、火力発電所、工業用ボイラー、非鉄金属精錬場などがある、また海洋、土壌、火山などの自然環境からも亜硫酸ガスを生成する硫黄分が放出されており、こうした硫黄分の中の相当な量が自然発生的に亜硫酸ガスなどに変化している。
事故が発生しやすい素材
反応染料を使用した綿の染色品の1部や分散染料を使用したアセテートおよびナイロン染色品の一部などに生じやすい。
事故の防止対策
ガスによる色の変化のほとんどは、今回の事例のように利用者の側での使用や保管中に生じている可能性が高い。しかし、利用者はこうした現象を理解していないために色の変化の原因がクリーニングの処理にあるものと思い込み、結果的にクリーニング店に苦情を持ち込むものと考えられる。
したがって、クリーニング店における苦情の防止対策としては利用者に対してガスによる事故の実態を周知し、目に見えない大気中のガスが衣料品の色の変化の原因になることを理解してもらうことが必要。受付時には、チェックを徹底して行う。わずかでも変化を見つけた場合は、クリーニングで明瞭化する可能性があることを伝える。
以上、原文のまま掲載。
ちょっと文章が固くてすみません。
実はこの事例、以前のブログで紹介しています。
ちゃんと説明しなかったクリーニング店もダメですよって言われていますm(_ _)m
その時のブログでも書いていますが、
私たちがお伝えしたいのはクリーニングから帰ってきたら、あの
クリーニング屋さんがかけてくれる透明なカバーはあくまで運搬用です。
必ず外してしまってください!
ということです。
また、
変色の原因は、ガスや紫外線だけではありません。
ビニールのカバーそのものに含まれている酸化防止剤や可塑剤(プラスチックを柔らかくするための材料)も影響することが多々あります。
この事例は以前、私が所属していたクリーニング組合の苦情審査委員会の中でも度々経験しています。
どうしても埃や直射日光などが気になる場合は、不織布のカバーももちろん有効ですが、使い古しのシーツやカーテンなどを捨てずに取っておいて、ハンガーの上からバサッとかけて収納することをおすすめします。
いかがでしょうか?
さあ、日毎に暖かくなって、
そろそろ衣替えの季節です。
これでもまだあなたは、ビニールのカバーのまま収納しますか?
【この記事を書いている人】
平櫛 貴夫
(毎日屋クリーニング店 店主)
兵庫県尼崎市でクリーニング店を営んでおります。
地域の方から頼りにされ、地域に恩返しできるクリーニング店を目指し、「洗い」と「仕上げ」にこだわりを持って運営しています。