えっ、衣服にも消費期限があるの?服が劣化する加水分解とは?
えっ、衣服にも消費期限があるの?服が劣化する加水分解とは?
そうなんです。
着ても着なくても、寿命がくる服ってご存じですか?
着てもないのに寿命来るわけないやん!
そらそ〜やろ!
いいえ、買ったその日から劣化させる犯人がいるんです!
その名は
「樹脂」
「ポリウレタン」
「合成皮革」
三点とも空気中の水分と反応して、どんどん劣化してゆきます。
これを難しい言葉で<加水分解>といいます。
劣化が進んでくると接着力が弱まったり、剥がれたり、変褪色、型くずれなどが起こります。
実例で説明しましょう。
まず、防寒ブルゾンです。
ボコボコになったり、みみずばれのようにいますね。
これらは生地の裏にポリウレタンをコーティングしてあり、それが加水分解により接着力が低下して部分的に剥がれたものです。
レインコート等の雨具も同じような加工がしてあります。裏地が白くツルツルになっているものがそうです。
ケアラベルの組成表示です。
どこにもコーティングの事は書いてありませんね。
実は、以前は裏のコーティングの表示義務はありませんでした。
次の事例です。
紳士物のコートです。
これは事故品ではありませんが、
素材のところには何も書いてありません。
付記説明をよく読むとボンディングと書かれています。これは二枚の生地を張り合わせた素材ということです。
生地に独特のハリ感があり、風を通しにくい素材ですが、二枚の生地を接着剤で貼り合わせているのでこれが劣化して剥がれてきます。
次はこちら。
ケアラベルだけ写しました。
組成表示に注目してください。
ポリウレタン5%、というところです。
組成比は重量比で表示されていて、綿よりも相当軽いためこのような表示になるんです。
このたった5%は弾性糸として使用されていて、衣服にストレッチ性が付与され、フィット感、着用感が格段に上がります。
フィット性の高い服によく使われています。
ただし、このポリウレタンは、コーティング同様、加水分解により劣化します。
ポリウレタン弾性糸が劣化すると伸びるので衣服全体が型くずれします。
ひどい時は着用できなくなります。
次もよく目にする事例です。
コートのエリの裏に合成皮革が使われています。すでに劣化が始まっています。
同じコートのポケット部です。
パイピングというデザインで同様に合成皮革が付いていて、これも劣化が始まっています。
代表的な4つの事例を集めてみました。
ここで勘違いしてほしくないのですが、
これらの品物を買ってはいけない、と言っているのではありません。
特に、ジャケットやパンツなどは昨今の流行でジャストサイズとなっているため、ストレッチ機能なしでは、着用することができませんし、
ウレタンコーティングや合成皮革は機能面、デザイン面で非常に優れた素材です。
ただし、テーマの通り、
着なくても劣化してしまいます。
メーカーは、
製造されてから3年、とはっきり謳っています。
よく読んで下さい、買ってから、じゃないですよ。
ご注意くださいね。
一張羅、とっておきなどと、出し惜しみしていると着られなくなりますよ。
「消費期限」が来る前に、
どんどん着てオシャレして「消費」しちゃいましょう!
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【この記事を書いている人】
平櫛 貴夫
(毎日屋クリーニング店 店主)
兵庫県尼崎市でクリーニング店を営んでおります。
地域の方から頼りにされ、地域に恩返しできるクリーニング店を目指し、「洗い」と「仕上げ」にこだわりを持って運営しています。